※今回は具体的な手術の話になります。
看護師
看護師さんに背中を押され、点滴をカラカラ引きずりながら
ゆっくりゆっくり手術室へと向かいました。
手術室へ
病室から近くにある所に、手術室がありました。
入るとそこは、ドラマやドキュメンタリーなどTVでよく見るあの手術室そのもの。
もの珍しげにキョロキョロ周りの景色を拝見する余裕なんかみじんも無く
私が今やるべき事は、あの手術台に乗る事…!
そのひとつの事しか頭になく、導かれるまままっすぐ前を向いて
手術台の前へとたどり着きました。
担当医
3人ほどの看護師さんが私を支えてくれて、小さい階段を一歩一歩登り
手術台の上に寝転びました。
眩しいライトが私を照らします。
台に寝転ぶと両腕を広げられ、右手は脈拍を計る器具をつけられました
左手側には麻酔の先生らしき人がスタンバイ。
担当医
よろしくお願いします…。なんて、挨拶する余裕もなく
ただただ、ハァハァ息が苦しく、動悸がおさまりませんでした…。
足は大きく広げられた形で固定され
前開きショーツの前の部分をベロンと取り外して、私のアソコがあらわになります。
手際よく何人かの看護師さん達が私のおしりの下に何かを引いたり
私の前にカーテンを引いて足下を見えなくしたりと、テキパキ準備をしてくれます。
そして、私の鼻と口元に、酸素マスクを取り付けられました。
怖くてブルブル震えていたら、右手をギュッと握ってくれる人がいました。
りぃ
と、右手の手のぬくもりが唯一の安らぎでした。
担当医
麻酔の先生がそう言うと、腕にピリッと感触が走りました。
担当医
言われるまま、大きく息を吸って、吐こうとした瞬間ー
ビリッカミナリと目の前を稲妻が通ったのが見えました。
次の瞬間、私は真っ暗な闇に飲み込まれ、意識を失いました。
手術の間はまったく記憶がありませんでした。
流産手術直後の私の容態
私が意識を取り戻したのは、先ほどの病室のベッドの上でした。
半覚醒状態で、視界も白く、ぼや~っとしか見えない状態でした。
りぃ
混乱しているのか、私はベッドの上で暴れていました。
看護師
看護師さんらしき人が毛布をかけてくれて、肩に手を置いてくれています。
りぃ
横向きでうずくまり、体をちぢこめてだだっ子のように泣きじゃくっていました。
涙のせいなのか鼻は鼻水でつまって息ができず、口でハァハァ息をしてました。
…えっ、コレ私!?
だんだん意識がハッキリとしてきて、やっと我に返りました。
りぃ
いつの間にか看護師さんはいなくなり、ベッドで1人の私…。
訳がわからず、天井をぼーっと見つめます。
グルグル視界が回っていました。
まず、少し冷静に考えてみよう…
今ものすごい暴れて泣いてた?
だんだん落ち着きを取り戻してきましたが、鏡で自分の顔を見るとヒドイ状態でした。
鼻水はたれ、目は泣いたのか真っ赤に充血して、髪はボサボサ…
りぃ
麻酔中、自分は何をやらかしたのか…!?
まったく記憶がない…。
やばい、なんかさっきまでの自分が少しでも記憶にあるんだけど
恥ずかしい…。
やばい、なんか死にたい…。
ティッシュで鼻をかみ、涙をふき、だんだん正常に落ち着いてきました。
痛みはというと、下腹部が少しズキズキ痛みます。
生理痛のような痛みです。
でも、痛み止めの座薬か何か入っているのか、だんだん痛みは消えていきました。
この時、思いました。
りぃ
という事を。
さっき泣いていたのは
赤ちゃんを失う瞬間…意識はなくとも本能で泣いていたのか
手術の痛み、怖さで泣いていたのか
たぶん、両方かなぁ…。
じわりじわりと涙が出てきます。
本当にもういなくなっちゃった…。
隣に人がいるので、声を殺してヒクヒク泣いていました。
隣の人、なんかゴメンなさい…。
泣いて暴れて患者が戻ってくるのを隣で見てたらビックリしますよね。
というか、ドン引きですよね…。
「どんだけ痛い処置をされてきたの!?」と思われてるかも。
まさか、麻酔を受けて意識を失ってる時に泣くなんて想像もつかなかったです。
しかも、意識がないもんだから理性もなんもない
本能むき出しでかまわず暴れ泣いてたって事ですよね…。
りぃ
色んな人に迷惑かけたんだろうなぁ…と、想像するともう、申し訳ない気持ちで一杯です。
パンツの部分を見ると、前開きショーツの中に大きい夜用ナプキンがセットされいます。
暴れて装着しにくかったのか、横にビローンとはみ出していました…(笑)
りぃ
それから数十分ほどして看護師さんが見に来てくれました。
看護師
りぃ
看護師
そう言われて体をゆっくり起こし、看護師さんに支えられながら部屋を出ました。
歩くと足下がピリピリしてフラフラ歩きづらかったです。
これが麻酔のかかった後か…。
改めて麻酔の威力を思い知った私は、たまったおしっこを放出していました。
流産手術後の診察へ
それからまたしばらく休んで、体も回復してきた頃、院長先生との診察の時間になりました。
院長
りぃ
まず、内診台へ座り、最後の処置をしてもらいました。
前開きショーツをパカッと開いて
院長
そう言うと器具を中にいれ、何かをつかんだと思ったら
ビロビロビロビロビロ!!
長い長ーい何かが膣の中から出てきました。
りぃ
というか、こんなの入ってたんだ!全然気づかなかった…。
そして全部取り終わったあと看護師さんがサササッと新しいナプキンを取り付けて
前開きショーツを閉じてくれました。
りぃ
いちいちパンツ脱いだりしないで済むし、手早くナプキンも変えられるし。
前開きショーツすごい!!
院長先生の言葉
その後処置は終わり、イスに座って診察になりました。
院長
1、2ヶ月後か…結構間があくんだな。
院長
りぃ
院長
りぃ
ずっと前から気にしていた事を聞いてみました。
けれど先生は明るく言ってくれました。
院長
そんな下手じゃないわよ~!なんて、明るく言ってくれて
手術後初めて私は笑顔が出ました。
りぃ
本当に信頼できて、頼りになる先生で良かった。
その後ベッドに戻り、点滴を看護師さんから抜いてもらいました。
その時、優しく看護師さんが私に語りかけます。
看護師さんの言葉
看護師
りぃ
看護師
優しく点滴の針を抜きながら、私の目を見て優しく微笑んでくれます。
看護師
大丈夫大丈夫…。
何度も励ましてもらい、赤ちゃんを失った私を優しく包み込んでくれました。
看護師
りぃ
なんかもう、涙が出そうです。
こんな風に優しくなぐさめられると、泣くつもりなんか全然ないのに
泣きそうになっちゃいます…。
先ほど、暴れて泣いて大失態を見せた私に、優しい天使のような看護師さん。
看護師
点滴をはずした後、そう言って部屋を出て行きました。
そういえば昨日の夜9時以降、食べ物も飲み物も口にしてないので
もうカラカラでお腹グーグーです…。
なんだか今回の事で、改めて病院のすごさを知りました。
診察をしてくれる先生ばかりに目がいきがちですが
それを周りでサポートする看護師さん達の大変さもわかりました。
そして、優しさも伝わりました…。
この病院に来て、本当によかったです。
その後、看護師さんがお食事とお薬を持って来てくれました。
紅茶とお水と、果物とパン。
看護師
なんて心配そうに聞いてくれますが、心とは逆に胃袋は正直なもので
りぃ
なんて、元気に答えちゃいました(笑)
久しぶりの水分とお食事を楽しんだ後、支度を整え退院です!
帰りはどんな気持ちになってるか、精神的にどん底にいるのかな…
なんて、ずーっと不安に思っていましたが
そんな患者の気持ちを理解してくれて、優しくそして強く!
支えてくれる先生と看護師さん達のおかげで、心はスッキリしていました。
りぃ
流産手術後、当日帰宅へ
朝の8時半に病院に来て、帰りは午後3時頃でした。
それまで外で時間を潰して駐車場で待ってくれていた旦那のもとへ駆け寄ります。
旦那は、私が手術後一人で歩けるぐらい元気な様子を見て安心したようです。
夕飯を買って、家に帰ってゆっくりします。
りぃ
赤ちゃんにさよならした、悲しい悲しい1日だったけど
1日でも早く、またあの子が戻ってきてくれるように私は元気になろうと思う。
元気に強く、そして病院の人達のように優しくなりたい。
こんな私ですが、これからもどうぞ見守っていただければ幸いです。